ドラクエ振り返り>
1992年/SFC
RPGというジャンルは、基本的に、「空間」に重点が置かれる。冒険が進むにつれ、行動可能な範囲が広がっていく。それが、大きな醍醐味。
本作では、思い切って、「時間」にもスポットを当てている。発生する出来事や、世界の様子の変化が、重要なファクターを占めている。
そして、主人公の行動も、期間ごとに制約を受ける。自由度はやや損なわれるが、その分リアル感があって、かなりワクワクできた。
また、本作では、モンスターを仲間にするシステムが登場。仲間モンスターが増えたら、預り所に預けることもできる。新しいパーティ編成の形。
そもそも、過去作では、モンスターはひたすら悪であった。(例外もいないことはないが。)彼等を仲間にするという発想自体、当時は斬新だった。
ドラクエ5といえば、必ずスライムナイトを思い出す。序盤から長らく、パーティメンバーとして活躍。半ば、人間のキャラクターとして見ていた。
本作は、シリーズの中でも、個性の強い作品。斬新な意欲作、という言葉がよく当てはまる。
一番の特徴は、ストーリー性にある。本作は、成長と郷愁の物語。そして、大きな運命というモチーフ。しばしば、映画を見ている感覚になる。
主要キャラだけでなく、町の人々にもスポットが当たる。それぞれに、しっかり描写が存在する。期間ごと、台詞が変わったりした。
他には、王家の争いとか、「光の教団」信仰など、人間の様々な所業が描かれる。これも、本作のストーリーを彩っている。
1995年/SFC
本作は、色んな要素が盛り込まれた作品。密度が濃い。
まず、パーティ・メンバーは全員、明確なキャラ設定がある。(ドラクエ2、4、5と同様。)一方では職業システムがあり、多様なパーティ編成ができる。(ドラクエ3と同様。)本作はある意味、集大成と言える。
また、呪文を使えない戦士系も、色んな特技を習得する。これは当時、斬新なシステムだった。(個人的に、よく使ったのは「ばくれつけん」。複数のメンバーに覚えさせると、かなり爽快。)
本作は、何より、世界構造に特徴がある。二つの世界が互いに関わり、様々な不協和を抱えている。(詳細は、ネタバレになるので避ける。)主人公たちはそれらを解決し、世界を在るべき姿に戻す。主人公自身の問題も、その中で解決される。
また、いずれの世界も、個性的な場所が多い。フィールド上に、小屋がポツンと建っていたりする。井戸も、町内だけでなく、フィールド上にも存在している。(因みに、井戸に入れる仕様になったのは、本作からである。)
ドラクエ6の世界は、とにかく探索し甲斐がある。
なお、本作は、多くの小ストーリーから成る。それらを順にこなすことで、ゲームは進行する。後半辺りになると、多少の面倒を感じた。しかし終盤、予想を超える展開が待っている。全体として見ると、完成度は十分高い。
2000年/ps
本作は、前作同様、世界そのものに謎がある。謎の大きさは、前作以上。
主人公は、島の漁村に住んでいるが、世界にはその島しかない。そこから、物語は少しずつ進み、新たな世界が開けていく。結末がなかなか予想付かない。
また、新しいシステムとして、仲間会話システムが登場。随時、仲間の台詞が聞ける。
更に、視点転回システムが登場。視点を左右に移動させ、色んな角度から観覧することができる。
これら二つは、いずれも画期的だった。
登場人物も、印象に残りやすい。まず、主人公の少年と、やや年上の遊び友達(キーファ)。後者は活発な性格で、主人公をしばしば強引にリードする。序盤はしばらく、この二人で探検を続け、島の秘密を追い求める。
やがて、わがままなヒロイン(マリベル)が加わり、冒険の旅開始。この3人パーティは、なかなか絶妙だった。
新たに訪れる町では、必ず何らかの異変に出くわす。その内容はバラエティに富み、テーマも充実している。
また、仲間の台詞がとにかく楽しい。(特にマリベル。)新しい町に着いたときは、まず、仲間メンバーの感想を聞いた。
全体のストーリー・テーマも、勿論凝っている。主人公が住む島は、エデンの園のモチーフ。(即ち、平穏な地。)あえてそこを飛び出し、未知の世界を求めていく。
本作は、重厚な作品だが、クリアまで長い時間が掛かる。色々、詰め込み過ぎの感がある。(これは、欠点に類する。)町の数も、もう少し削って欲しかった。ゲームとしての完成度は、そう高いとは言えず、名作とは言い切れない。(しかし、中盤は全然退屈せず。)
あと、フリーズの問題がある。(感覚としては、「ごくたまに起こる」程度だったが。)対処法としては、まずセーブをマメにする。また、ゲーム機が熱くなったら、早めに中断。
2004年/PS
本作はまず、完成度が高い。内容が洗練されていて、無駄な部分がない。正統派志向の作品、と言える。
移動画面は、全て3Dで構成される。本作の一番の売り。よく作り込まれている上、操作性も抜群で、バーチャルな空間を満喫できる。FC時代のドラクエからは、想像も付かない世界がある。
また、新システムとして、「スキル」、「テンション」、「錬金釜」、「スカウト」が登場した。
スカウト・システムとは、モンスターのスカウト。その対象となるモンスターは、フィールド上に姿が表示され、全員が異名を持っている。彼等の存在は、フィールドの探索に彩りを与える。
スカウトは撃破後に行えるが、事前に、あるイベントをクリアしている必要あり。
なお、本作はプレイ中、3D酔いする可能性がある。(目が回るなど。)自分の場合、それが起こったのは、最初の町(トラペッタ)と後半の塔(ライドンの塔)のみ。(勿論、人による。)ともかく、町の中やダンジョン内では、むやみな方向転換は避ける必要がある。
本作は、小説に例えると長編小説。ゲーム開始直後から、一貫したストーリーが存在する。(前作と前々作は、連作小説(小ストーリーの積み重ね)の要素もあった。)
ストーリー上、軸となる存在は、「七賢者」と「暗黒神」。前者は理性、後者は情念を重視。世の人々は、七賢者を崇拝している。
そして、今作の悪役・ドルマゲスは、暗黒神に魂を売った男。人や世間の浅薄さを憎み、愚弄と凶行を繰り返す。
本作はまた、中世のキリスト教世界を、かなり再現している。従来のドラクエにも、概ねその要素はあったが、今作ではよりリアル。
歴史上、中世まっただ中の教会・修道院には、福祉施設の役割あり。しかし、聖職者たちは、皆が善人だった訳ではない。敬虔な者もいれば、世俗的な者もいた。本作には、これらの要素が、一通り盛り込まれている。
ドラクエ1~4 ドラクエ9~11
ドラクエ振り返り>
まとめ(ドラクエ5~8)
ドラゴンクエスト5
RPGというジャンルは、基本的に、「空間」に重点が置かれる。冒険が進むにつれ、行動可能な範囲が広がっていく。それが、大きな醍醐味。
本作では、思い切って、「時間」にもスポットを当てている。発生する出来事や、世界の様子の変化が、重要なファクターを占めている。
そして、主人公の行動も、期間ごとに制約を受ける。自由度はやや損なわれるが、その分リアル感があって、かなりワクワクできた。
また、本作では、モンスターを仲間にするシステムが登場。仲間モンスターが増えたら、預り所に預けることもできる。新しいパーティ編成の形。
そもそも、過去作では、モンスターはひたすら悪であった。(例外もいないことはないが。)彼等を仲間にするという発想自体、当時は斬新だった。
ドラクエ5といえば、必ずスライムナイトを思い出す。序盤から長らく、パーティメンバーとして活躍。半ば、人間のキャラクターとして見ていた。
本作は、シリーズの中でも、個性の強い作品。斬新な意欲作、という言葉がよく当てはまる。
一番の特徴は、ストーリー性にある。本作は、成長と郷愁の物語。そして、大きな運命というモチーフ。しばしば、映画を見ている感覚になる。
主要キャラだけでなく、町の人々にもスポットが当たる。それぞれに、しっかり描写が存在する。期間ごと、台詞が変わったりした。
他には、王家の争いとか、「光の教団」信仰など、人間の様々な所業が描かれる。これも、本作のストーリーを彩っている。
ドラゴンクエスト6
本作は、色んな要素が盛り込まれた作品。密度が濃い。
まず、パーティ・メンバーは全員、明確なキャラ設定がある。(ドラクエ2、4、5と同様。)一方では職業システムがあり、多様なパーティ編成ができる。(ドラクエ3と同様。)本作はある意味、集大成と言える。
また、呪文を使えない戦士系も、色んな特技を習得する。これは当時、斬新なシステムだった。(個人的に、よく使ったのは「ばくれつけん」。複数のメンバーに覚えさせると、かなり爽快。)
本作は、何より、世界構造に特徴がある。二つの世界が互いに関わり、様々な不協和を抱えている。(詳細は、ネタバレになるので避ける。)主人公たちはそれらを解決し、世界を在るべき姿に戻す。主人公自身の問題も、その中で解決される。
また、いずれの世界も、個性的な場所が多い。フィールド上に、小屋がポツンと建っていたりする。井戸も、町内だけでなく、フィールド上にも存在している。(因みに、井戸に入れる仕様になったのは、本作からである。)
ドラクエ6の世界は、とにかく探索し甲斐がある。
なお、本作は、多くの小ストーリーから成る。それらを順にこなすことで、ゲームは進行する。後半辺りになると、多少の面倒を感じた。しかし終盤、予想を超える展開が待っている。全体として見ると、完成度は十分高い。
ドラゴンクエスト7
本作は、前作同様、世界そのものに謎がある。謎の大きさは、前作以上。
主人公は、島の漁村に住んでいるが、世界にはその島しかない。そこから、物語は少しずつ進み、新たな世界が開けていく。結末がなかなか予想付かない。
また、新しいシステムとして、仲間会話システムが登場。随時、仲間の台詞が聞ける。
更に、視点転回システムが登場。視点を左右に移動させ、色んな角度から観覧することができる。
これら二つは、いずれも画期的だった。
登場人物も、印象に残りやすい。まず、主人公の少年と、やや年上の遊び友達(キーファ)。後者は活発な性格で、主人公をしばしば強引にリードする。序盤はしばらく、この二人で探検を続け、島の秘密を追い求める。
やがて、わがままなヒロイン(マリベル)が加わり、冒険の旅開始。この3人パーティは、なかなか絶妙だった。
新たに訪れる町では、必ず何らかの異変に出くわす。その内容はバラエティに富み、テーマも充実している。
また、仲間の台詞がとにかく楽しい。(特にマリベル。)新しい町に着いたときは、まず、仲間メンバーの感想を聞いた。
全体のストーリー・テーマも、勿論凝っている。主人公が住む島は、エデンの園のモチーフ。(即ち、平穏な地。)あえてそこを飛び出し、未知の世界を求めていく。
本作は、重厚な作品だが、クリアまで長い時間が掛かる。色々、詰め込み過ぎの感がある。(これは、欠点に類する。)町の数も、もう少し削って欲しかった。ゲームとしての完成度は、そう高いとは言えず、名作とは言い切れない。(しかし、中盤は全然退屈せず。)
あと、フリーズの問題がある。(感覚としては、「ごくたまに起こる」程度だったが。)対処法としては、まずセーブをマメにする。また、ゲーム機が熱くなったら、早めに中断。
ドラゴンクエスト8
本作はまず、完成度が高い。内容が洗練されていて、無駄な部分がない。正統派志向の作品、と言える。
移動画面は、全て3Dで構成される。本作の一番の売り。よく作り込まれている上、操作性も抜群で、バーチャルな空間を満喫できる。FC時代のドラクエからは、想像も付かない世界がある。
また、新システムとして、「スキル」、「テンション」、「錬金釜」、「スカウト」が登場した。
スカウト・システムとは、モンスターのスカウト。その対象となるモンスターは、フィールド上に姿が表示され、全員が異名を持っている。彼等の存在は、フィールドの探索に彩りを与える。
スカウトは撃破後に行えるが、事前に、あるイベントをクリアしている必要あり。
なお、本作はプレイ中、3D酔いする可能性がある。(目が回るなど。)自分の場合、それが起こったのは、最初の町(トラペッタ)と後半の塔(ライドンの塔)のみ。(勿論、人による。)ともかく、町の中やダンジョン内では、むやみな方向転換は避ける必要がある。
本作は、小説に例えると長編小説。ゲーム開始直後から、一貫したストーリーが存在する。(前作と前々作は、連作小説(小ストーリーの積み重ね)の要素もあった。)
ストーリー上、軸となる存在は、「七賢者」と「暗黒神」。前者は理性、後者は情念を重視。世の人々は、七賢者を崇拝している。
そして、今作の悪役・ドルマゲスは、暗黒神に魂を売った男。人や世間の浅薄さを憎み、愚弄と凶行を繰り返す。
本作はまた、中世のキリスト教世界を、かなり再現している。従来のドラクエにも、概ねその要素はあったが、今作ではよりリアル。
歴史上、中世まっただ中の教会・修道院には、福祉施設の役割あり。しかし、聖職者たちは、皆が善人だった訳ではない。敬虔な者もいれば、世俗的な者もいた。本作には、これらの要素が、一通り盛り込まれている。
ドラクエ振り返り>